コロナ禍の息苦しい空気を背景に、客引きの青年、引きこもりがちな父親、デリバリーを楽しむ主婦など、追い込まれた人々がふと罪に近づく瞬間を描く全六編の短編集。ほっこりする話から背筋が寒くなる話まで、味わいが幅広い。
あらすじ
コロナ禍の息苦しい空気を背景に、客引きの青年、引きこもりがちな父親、デリバリーを楽しむ主婦など、追い込まれた人々がふと罪に近づく瞬間を描く全六編の短編集。ほっこりする話から背筋が寒くなる話まで、味わいが幅広い。
作品情報
受賞歴・映像化
- 直木賞:第171回(2024年上半期) 受賞


作者は一穂ミチ。光文社から刊行された短編集で、第171回直木賞に選ばれた。選考委員の満場一致で決選投票なしの1作受賞だった。光文社の直木賞受賞は、生島治郎『追いつめる』以来、57年ぶりとされる。
コロナ禍を背景に閉塞した状況で事件に巻き込まれていく平凡な人々を描く6編を収める。冒頭の「違う羽の鳥」では、大学を中退した優斗が新宿のバーで客引きをしている。「ロマンス☆」は、子育てに追われる主婦が、街で見かけた配達員に思いをはせる話として紹介されている。
直木賞は大衆小説に贈られる賞で、この作品も娯楽として読める短編集だ。収録作は6編で一編ずつ区切って読める。仕事の合間や寝る前に一編だけ読むという付き合い方もしやすい。コロナ禍の息苦しさを思い出す人には、少しつらい面もあるかもしれない。ミステリー寄りの人間ドラマが好きな人に向く。